体腔鏡手術(腹腔鏡手術)

体腔鏡手術(腹腔鏡手術)

体腔鏡手術(腹腔鏡手術) Q&A

 体腔鏡手術とは何ですか?
従来、お腹を大きく開けて行っていた手術を、1cm前後の小さな傷を4カ所前後お腹につけてそこから内視鏡と特殊な器具を挿入して行う手術です。

 筑波大学附属病院泌尿器科ではどのような病気に対して体腔鏡手術を行っていますか?
当院で施行している体腔鏡手術とその対象疾患は以下の通りです。

腹腔鏡下根治的腎摘除術早期腎臓がん
(がんの大きさは7cm前後まで)
腹腔鏡下腎部分切除術早期腎臓がん
(がんの大きさが3cm以下で腎臓の縁から突出しているタイプのもの)
腹腔鏡下腎尿管全摘除術早期腎盂がん、早期尿管がん
(尿管下部の操作は小切開で施行しています)
腹腔鏡下副腎摘除術6cm程度までの褐色細胞腫を含む良性副腎腫瘍
腹腔鏡下尿膜管摘除術尿膜管遺残
腹腔鏡下腎盂形成術腎盂尿管移行部狭窄症

表の手術に関しては、日本をはじめ欧米でも体腔鏡手術が第一選択として定着しており、標準的な手術方法になっています。当科では1999年に導入し2009年時点で100例を越える実績があります。
手術にかかる時間は術式によって若干異なりますが、概ね2~4時間前後です。
なお、この他に、無機能腎に対する単純腎摘除術なども施行しています。

 自分の病気が体腔鏡手術の対象かどうか知りたいのですが?
患者様ご自身のご病気が体腔鏡手術の対象となるか知りたい場合には、担当医に診療情報提供書を作成してもらった上で外来を受診*して頂ければ判断可能です。判断に迷う場合には泌尿器科の手術検討会で泌尿器科スタッフ全員の意見を聞いた上でお返事致します。この場合はお返事までに数日お時間を頂きます。

 体腔鏡手術の利点は何ですか?
■ いくつかの利点があります。
1.術後の痛みが少ない
片方の腎臓を開腹手術、片方の腎臓を体腔鏡手術で治療した患者様に術後の印象をお伺いした所、「体腔鏡手術の術後は開腹手術に比べて天国の様だった」とおっしゃられていました。順調であれば翌日から歩行可能です。

2.出血が少ない
体内の構造が内視鏡で拡大されて見えますので細かな血管も止血しながら手術出来ます。このため、順調に終了した場合には50mL以下の出血量で済む場合が少なくありません。

3.手術中の体液変動が少ない
お腹を大きく開けるとどうしてもお腹から大量の水分が蒸発してしまいます。このため、手術直後に心臓や肺、腎臓に負担がかかりますが体腔鏡手術ではこれが最小限で済みます。

4.術後の腸の癒着が軽度
開腹手術と比較して術後の腸の癒着が軽い事が多く、腸閉塞などのうっとうしい合併症は少ないとされています。腸の動きも余り悪くならないので順調であれば翌日から食事可能です。

 普通の開腹手術と比べて危険な事はないのですか?
体腔鏡手術の技術認定医が必ず手術に立ち会いますので、開腹手術と比べて危険な事はありません。但し、以下の2点はご了解下さい。

・ガス塞栓
体腔鏡手術では、手術操作のスペースを得るためにお腹を二酸化炭素で膨らませて手術します。太い静脈から出血した場合、この二酸化炭素が血管内に入り最終的に肺の血管を塞いでしまう事があります。これは体腔鏡手術に独特の合併症ですが、その頻度は稀です。

・開腹手術への移行
予想外の癒着、術中出血や臓器損傷などの理由で開腹手術に移行する場合があります。当科での開腹移行率は10%未満です。

 腎臓は結構大きな臓器ですが1cm程度の傷からどうやって摘出するのですか?
残念ながら腎臓や5~6cm以上の副腎腫瘍は1cm程度の傷からは引っぱり出せません。このため、手術の最後にお腹を5cm前後切開して摘出します。それでも従来の開腹手術より痛みは少ないと思います。なお、小さな副腎腫瘍や腎腫瘍は内視鏡を挿入した傷から引っ張りだす事が出来ます。

 
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